顧客が作る「サービスの魅力」
こんばんは。出井伸之です(ウソ)。

はりーさんの「イントラブログ続き」にトラックバックしています。ちょっと前置きが長くなるかもしれませんがご勘弁を。

「収穫逓増の法則」という言葉がある。通常の製品は市場の規模が大きくなると投資額あたりの収益が減ってくる「収穫逓減の法則」に支配されている。一方、ソフトウェアやネットワークの世界では、規模が大きくなると製品/サービスの魅力が増し、ますます収益があがる様になる。

たとえばケータイ。持っていてもかける相手がいなければ魅力はゼロだ(テレビ電話はなかなか普及しなかったことを考えるとよいだろう)。かける相手がでてきてようやく魅力が発生する。それも数が増えればふえるだけ。かける相手が一人のときの通話量を1とすると相手のぶんもあわせて2だ。相手が二人になれって登場人物が3人になるとひとり当たりの通話量は2で全体では6、登場人物が4人で12となる。理屈では通話量は関与者の数の2乗にほぼ比例するようになる(もちろん限界はある)。

通話量だけでなく、サービスの魅力も増えてくる。2番目の人が加入する時に話せる相手は一人だけなのに対して、4番目の人が参加する時には3人の人に話すことができるサービスになっているのだ。

ネットワークゲームもブログも同様だ。ネットワークゲームのユーザが増えればログインしたときにいいパーティを組める確率は高くなる。戦利品の取り引きも容易になる。ブログでは読める記事が増えるのに加え、コメントの数も増えてくる。これらは直接エキサイトの収益につながっている訳ではないが、エキサイトブログの魅力の逓増には寄与している。

さて、表題に「顧客が作る」という修飾をいれた。これは、サービス提供会社よりも、それを使う顧客自体が魅力を作っていると思うからである。数だけでなく顧客の質が。

ただこれは「収穫逓増の法則」が働かない世界のときからもあったものだ。例えばクラブや碁会所。気の合う仲間が集まるからそこにいく。行儀の悪い人たちのたまり場になっちゃうと行く気が失せる。ケータイやネットワークゲームもブログではもっとその側面が強いのではないか。特にブログは、愉快な仲間達がいるというだけでなく、面白いコンテンツを日々生産してくれるのだ。それに対してエキサイトができることは、ゲストブログを盛り上げたり、コンテストを開催して賞を出すくらいしかないように思う。インフラ整備もあるがこれはお客さまを逃がさない程度の効果しかないと思う(特にどのプロバイダーも十分な品質が提供できようになったら)。

やっとはりーさんの話とからんできます。
だが、ブログに限らず、コミュニケーションとか情報処理という分野では、ツール自体が持っている機能よりも、ユーザーやネットワークによる創発にこそ意味があり、キャズムを越えられるかどうかは、この意識をどれだけ広められるか、に依るのではないだろうか?
そう、魅力はユーザとそのコミュニティの中にあり、それを知ってもらわなければならない訳だ。

逆に、テクノロジーには疎くとも、そういう意識改革やコミュニケーションの重要性に気付いている人も居る筈で、そういう人達を掘り起こしたり繋ぎ合わせていく為にブログを使う、という方が目的に適っていると思う。
御意。

また、仮にブログ活用で何らかの効果が出たとして、どのように評価するのか? 個人のバカ話と違って、業務に有効なコンテンツを書くというのは相応の工数が掛かる。それに対して何の報奨も無かったら果たして書く人は増えるのか? 評価するとしたらどうやって?
人は報酬だけで動いているのではない。今金にならないブログを書いているモチベーションはなにかというと、読んでくれる人がいるから、コメントしてくれる人がいるから、評価してくれる人がいるから、誰かに(いい)影響を与えているという実感が得られるからだと思う。会社でも同様じゃないかと思うのだ。会社に必要なのは、ブログを書くことをサボっているとみなさず、知識の展開・創発とみなし奨励すること(この点は、はりーさんが「イントラブログ その3」 で書かれています)。金銭的な評価は無くとも社内の賞賛が励みになる。甘いかな。
[PR]
by yoshihiroueda | 2004-12-19 01:06 | ビジネス
<< ある北ヨーロッパ風?パン屋さん... 市場に残る資格 >>